デザインのある光景Number: 34


Subject:

Mikawakougei Glass Art Museum

Text: Yoshiko Taniguchi

Photo: Kyoko Omori

Mother Comet No.46 | 2020.January

「万華鏡の中に入れる、フォトジェニックな場所がある」という噂を聞き、中部国際空港セントレアから車を走らせること約40分。のどかな住宅街にある「三河工芸ガラス美術館」では、個性豊かなガラス工芸品60点をはじめ、全面鏡張りの空間で四季の移ろいを表現する「彫刻鏡の部屋」や、ジオラマとステンドグラスを融合させたミニチュア作品など、館長兼作家である神谷一彦さんの繊細で独創的な作品を展示。来場者が作品と一体化できるような仕掛けを設けるなど、アイデアと工夫に満ちた美術館である。

中でも長さ7.3m、幅3.1m、高さ2.55mと、2002年に世界最大(当時)の万華鏡としてギネスに認定された「スフィア」(写真)は、万華鏡の中に人が入れるという“ありそうでなかった”幻想空間。噂にたがわず“映え”ていた。

「幼い頃から絵が好きだったし、脱サラ前は工作機械や治工具などの機械設計に従事していて手先も器用でした。36歳のとき、独学でガラス工芸を始めてからは、寝ても覚めてもアイデアが湧いてきて(笑)。美術館を作ることになり、目玉の展示を考えていたら、万華鏡の中に人が入れたらきっと楽しいな、とひらめいたんです」。

フレームの大枠は大工に頼んだが、その他は元エンジニアである神谷さんの手作り。90cm四方の鏡を54枚張り、光の当て方や3基あるステンドグラスの動かし方を工夫。2分間の物語と音響を組み合わせ、テーマである「生命と宇宙の起源」の世界観を見事に表現。構想・設計に半年、完成までに約10か月の制作時間を費やした大作なのだ。

地方の小さな美術館にある「スフィア」の存在が世間に知られるようになったのは2018年。2000年の開館以来、館内撮影を禁止していたのだが、同年に小型カメラおよびスマホ撮影を解禁したところ、SNSで画像が一気に拡散。以来、多くの観光客が幻想的でキラキラした世界に包まれて写真を撮りたいと、国内外から足を運んでいる状況だ。

「ほかの美術館と同じことをしたくない、お客さんの想像を超えたい…その一心で作ったスフィアが、お客さんを喜ばせている事実が楽しいし、嬉しい」と目を輝かせる神谷さん。今年、開館20周年を迎える現在も制作に没頭しており、アイデアはまだまだ尽きそうにない。

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