デザインのある光景Number: 9


Subject:

Himmeli

Text: Yoshiko Taniguchi

Photo: Kyoko Omori

Mother Comet No.21 | 2017.December

早いもので、もう12月。街にはこの時期定番の曲が流れ、サンタクロースのオブジェや大きなツリーなどが賑やかに聖なるイベントを盛り上げている。クリスマスといえば、キラキラと華やかなディスプレイを連想しがちだが、近年は、モダンな幾何学模様が印象的なモビール「ヒンメリ」の人気がじわじわと高まっているらしい。

「ヒンメリとは、およそ850年前から伝わるフィンランドの伝統装飾品です。もともとは12月の収穫祭の装飾品として、翌年の豊作を祈りながら農家の家族が藁に糸を通して作っていたもの。現在ではクリスマスの装飾として、また結婚式では幸運と子宝を願って飾られるなど、フィンランドでは『幸運のお守り』として親しまれています。日本では、近年の“北欧インテリアブーム”もきっかけとなって、ヒンメリの人気に火が付いたようです」

作品の撮影に協力してくれた関東在住の作家、〈ヒンメリのおか〉大岡真奈さんは、オリジナルのデザインを考案するだけでなく、誰もが手軽に作れることを目指し、ストローを使ったヒンメリのワークショップを精力的に開催している。「ヒンメリとの出合いは4年半前。何気なく読んでいた雑誌でヒンメリの写真を見つけた瞬間、全身にカミナリに打たれたような衝撃が走りました(笑)」。ヒンメリに引き込まれた大岡さんは、さまざまな形・立体を作り出す面白さに魅了され、ついには勤務先の小学校を退職。以来、独学で新しい図面を考えながら、どうすれば誰もが作りやすい方法になるのか。試行錯誤を重ねながら、ワークショップを通じた普及活動に奔走している。

「ヒンメリという言葉は、スウェーデン語の『ヒンメル』(=天)が語源。上から吊るしたヒンメリに光が当たり、天井や壁、床に広がっていく影はとても幻想的。空気の流れでゆっくり回転もするし、見ていて飽きません。人を癒す効果も注目されていて、最近では病院や老人施設などに飾られているのを見かけることもあります」。

シャープでモダンなデザインは、クリスマスを過ぎてもインテリアのアクセントとして通年飾っておけるし、“幸運のお守り”が部屋の一角にあるというのも、実に縁起がいい。そして伝統あるものは、時代を超え、国境をも越え、愛される力を持っていると、つくづく思うのである。

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