デザインのある光景Number: 5


Subject:

bridge

Text: Yoshiko Taniguchi

Photo: Kyoko Omori

Mother Comet No.17 | 2017.August

新北九州空港は周防灘に浮かぶ海上空港なので、利用の際には欠かせない存在となる「新北九州空港連絡橋」。橋の色であるブリリアントグリーンは空と海の青に映え、シンプルなデザインは車窓からの景色を邪魔しない。「渡っていて気持ちの良い橋」という印象を持つ読者も多いのではないだろうか。

「空港と大地をつなぐアーチ橋」というテーマのもと、工事期間9年(プロジェクトとしては約15年)、事業費687億円をかけ、2006年に完成。海上部の橋長が2.1kmある福岡県初の海上長大橋は、優れた橋梁に贈られる「土木学会 田中賞」を受賞している名橋だ。

「連絡橋ですから、通常は機能を満たすスタンダードな設計で作られることが多いのですが、この橋は、かつてないほど景観デザインが重視されています」と話すのは、建築家の松岡恭子さん。中心部のアーチから橋脚、桁などの主要構造部、高欄や照明、防護柵にいたるまで一貫してデザインを担当。シンボル的存在であるアーチには特にこだわり、断面は値物では直方体だが、頂部に向かって六角形に変形していくという、ねじれたデザインを採用。スレンダーなラインが醸すアーチの優美さと、光によって生まれる陰影は、こだわりぬいたデザインの賜物だ。「ボルトを使わずに溶接だけで作るなど、難易度の高い要求を形にしてくれた、エンジニアたちの高い技術力も不可欠でした」と当時を振り返る。

さらに、松岡さんは橋の入口周辺部分を「人が訪れたくなる公共空間」と捉え、公園として使えるようにデザイン。管轄の問題や規制・制限があり、設計当初は反対意見もあったそうだが、ゆるぎない熱意と創意工夫で諸問題を突破。現在、連絡橋は空港を利用する車の往来だけでなく、散策やランニングが楽しめる人気コースとなっている。

「私が建築家を目指すきっかけとなった本に『建築は総合芸術だ』という一文があるのですが、設計をするときは単にモノを作るだけでなく、周辺の環境も良くなることを目指してデザインすることが大事だと、いつも心がけています」。

物語を知ると、見える風景や印象も変わってくる。次にこの橋を渡るとき、アーチはより誇らしげに、青に映えるブリリアントグリーンは、より色鮮やかに見えそうだ。

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