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STORY
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「小学2年生の時からの夢を叶える」
Dream to be a pilot

「小学2年生の時からの夢を叶える」Dream to be a pilot

谷中
運航本部 運航乗員部
2010年入社

小2の時、家族との海外旅行で初めてジャンボジェット機の姿を目にした時から、夢はパイロット一筋。「あんな高層ビルほどの大きさのものが空を飛ぶということに、とてつもなく感動したのを覚えています。12時間近くのフライトでしたが、興奮して着陸するまで一睡もできなかったんです」大学卒業後、航空大学校へ進み、スターフライヤーへ入社。大好きな場所は、コックピットの中。大好きな景色は、コックピットから見える、富士山。

小学2年生から抱き続けたパイロットになる夢。スターフライヤーに入社し、見事その夢を叶えた谷中。だが、谷中のパイロット人生が確かにスタートするまでには、様々な挫折があった。入社後の訓練中、夢を叶える寸前で、人生最大の壁にぶつかる。その壁とはどんなものだったのか、そして、いかにその壁を乗り越えたのか、語ってもらいました。

ぶちあたった壁は、人生最大の壁。

入社してからエアバスの免許を取得するまでの約半年間は、プライベートの時間なんてほとんどなく、本当に、勉強するか眠りにつくかの毎日でした。でも、そこまではどうにか順調に進むことができたんです。問題はそこから。免許を取得すると、次はOJT訓練に入り、実際に飛びながら、座学やシミュレーション訓練では学べない様々なことを体に染み込ませていきます。それが本当に、想像していた以上に、大変だったんです。航空大学校でプロペラ機の操縦訓練は経験していますが、本物のジェット機での操縦訓練は、それとは比べ物にならない。しかも操縦しながら、航空に関する様々な決まり事を覚え、管制官とのやりとりをし、そのやりとりの中で臨機応変な対応をする。一度に様々なことを集中して行わなければいけないんです。なかでも、管制官とのやりとりがいちばん苦労しましたね。羽田はとくに、管制官が喋っていない時間がないくらい、飛行機がたくさんいて、そういう状況で突然、我々スターフライヤーへの指示が来るんです。それも、一度にたくさん。訓練中なので、毎回評価へのプレッシャーも感じていて、ついには、訓練についていけなくなってしまった。そこで、会社からオーバーフローという判断が下され、一週間、訓練が中断されてしまったんです。

途方に暮れていた自分を救ってくれた、仲間たち。

パイロット訓練生は、もしも訓練続行不可能の判断が下されれば、そこで夢は途絶えてしまう。夢を叶える目前での、人生最大の挫折。その大きな分岐点で途方に暮れていた自分を救ってくれたのは、仲間でした。仲間とは、その時の教官や、副操縦士の先輩たちです。一緒に食事に連れて行ってくれて、本当に色々なことを話してくれました。話題の中心はもっぱら、ストレスコントロールをいかにするか、という話。「寝る前は必ず1時間、静かな時間を持つ。するとよく寝られる」とか「毎日好きな音楽を聴きながらウォーキングをして、夜は必ず湯船に入る」とか。実は先輩たちもほとんど僕と同じ悩みを抱え、それをそれぞれ工夫して乗り越えてきていたんです。「谷中は、日々着実に伸びているから、諦めるな」そんな励ましの手紙が会社のメールボックスにこっそり入っていたこともありました。本当に、諦めなくてよかった。その手紙は、今でも羽田のロッカールームに大切に貼りつけています。教官や先輩方のおかげで、一週間という短い時間で自分の心を整えることができ、休み明けのフライト訓練では見違えるように様々なことに対応することができました。

フライトに臨む前のパイロットは、
大事な試合に臨む前のアスリートのよう。

知識や技術はもちろん大事ですが、パイロットの仕事でいちばん重要になってくるのは、おそらくメンタルだと思います。やっぱり、うまくいく時は、メンタルが落ち着いているんです。うまくいかない時は、初めから気づかぬうちにメンタルで負けている。その原因は、逆算すれば必ずあるんです。たとえば、前日の夜寝るのが遅かったとか、当日ちょっと寝坊して慌てていたとか。そんな、ほんのちょっとしたことが、リズムやコンディションをほつれさせ、その部分が必ずメンタルに反映されてしまうわけです。前日の朝からコンディションを整え、心を整え、ベストな状態でフライトへ向かう。そうすれば、コックピットに座った時、緊張はするけれど、心は落ち着いていられる。そういう意味では、試合前に最高の準備をするアスリートに、状態は少し似ているのかもしれません。訓練に復帰し、自分のメンタルを徐々に鍛えることができるようになってからというもの、トントン拍子で副操縦士に昇格。副操縦士になって、初めて自分が操縦する飛行機に両親を乗せた時は、本当に感動しました。なにせ、小学2年生の時から、僕の夢を応援し続けてくれた二人ですから。

コックピットで思い出す初心。

時には1日4便飛ぶこともあります。そんな時ほど、ふと思うんです。いま僕は、自分があんなにも憧れていたパイロットに本当になれているんだって。そう思うと、不思議と一気に疲れが吹っ飛んでいく。時々、そういう原点というか、初心を思い出すんです。着陸する羽田空港が見えてきた時とか、やっぱりいまだに感動しますし。僕が小学校の時から憧れていた羽田を、上空から、しかも特等席で見れているわけですから。一瞬、感慨深い気持ちになりますね。それと何と言っても、夜のコックピット内。すごく綺麗なんですよ。無数のスイッチの光が星みたいで、まるでプラネタリウムにいるみたいな気持ちになる。こうして僕がパイロットになれたのは、スターフライヤーの仲間思いの先輩たちがいてくれたおかげです。スターフライヤーだったからこそ、こうしてパイロットになれたんだと思っています。そんな先輩たちへの恩返しのためにも、日々気持ちを引き締めて、心を整えることを怠らず、立派な機長になることを目指したいと思います。

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