PROJECT STORYプロジェクトストーリー

PROJECT STORY
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「あくなきトラブルシューティングが導いた、
AIRBUS A320の信頼性向上」
「あくなきトラブルシューティングが導いた、
AIRBUS A320の信頼性向上」
篠原 隼人
整備本部 技術部
2013年入社

現場の整備士にとってなくてはならない「航空機の整備マニュアル」。このマニュアルの作成を行なっているのが技術部。航空機の製造メーカーであるAIRBUS社から送られてくる技術文書を分析・評価し、独自に自社のマニュアルに反映していくことで、使用する航空機の信頼性維持を行なっている。製造メーカーと現場の整備士との「つなぎ役」でもある。

兼平 桃子
整備本部 整備部
2012年入社

航空機が運航している時間帯だけでなく、運航していない夜間も、整備士は様々な安全維持・改善業務を行なっている。チームで交代しながら夜を徹して整備を行ない、無事に機体の準備が整い、定時で出発させることができた時は、毎回達成感を感じます。出発の時に機体に向かって手を振る、あの『行ってらっしゃい』には、本当に私たち整備士の安全に対する気持ちがこもっているんです。

スターフライヤーが使用する飛行機「AIRBUS A320」。この航空機が毎日1便1便安全に運航できているのは、何よりも、整備本部の影の努力、高品質な整備力、技術力があるからこそ。今回は、なかでも、AIRBUS社さえも動かした「あくなきトラブルシューティングが導いた、A320のさらなる品質向上、信頼性向上」までの軌跡をご紹介します。
この不具合、絶対に直してやる。
篠原:
人間でいうと、おそらく「若干、具合悪いな」っていうくらいの不具合なんだけど、それにしても、あんなにも不具合の原因が特定されないっていうのは、初めてだった。見つけるまでに、3ヶ月くらいかかったからね。
兼平:
飛行中に、ある不具合のメッセージが出て、そしてトラブルシューティング(注1)を行なって、地上にいる時はそのメッセージが出なくなるんだけど、上空で飛行すると、また同じメッセージが出てしまう。何回繰り返しても、上空で出てしまう。これは絶対直してやる!って気持ちが、どんどん強まっていきましたね。
篠原:
この対談を読んで下さる方で、ご存知無い方もいらっしゃるかもしれないので補足すると、航空機って、不具合の種類やその発生箇所に応じて、その不具合を抱えたままでも安全に飛行可能な“期間”がそれぞれ決められているんです。
兼平:
さらにいうと、重要なシステムには必ず「予備」があるので、そういう意味では安心ではあるものの、だとしても、やっぱり何かしらの不具合があるまま飛ばすというのは、整備士としては、かなり不本意。本当に歯がゆかったですね。
全長37.57mの機体のどこかに、
かならず、原因箇所がある。
兼平:
期間が限られているということは、トラブルシューティングのチャンスも限られているということ。だからこそ、そのチャンスをものにしていかないといけない。ひとつひとつのアクションが確実に原因に近づくプロセスでなければいけない。そう思いながら、A320の機体を見つめて整備作業を行っていました。
篠原:
基本的に不具合というのは、飛行中に何かが起こったからメッセージが出るという「因果関係」が必ずある。だけど、今回の不具合は、どんなことを試してみても、地上ではメッセージが出ない。もう、ほとんど手探り状態で原因箇所を探すしかなかった。
兼平:
とにかくしつこいくらいパイロットにもヒアリングしましたね。どういう状況でどんな時にどうメッセージが出たかを聞いて、それでみんなで仮説を立てて探っていくしかなかった。
篠原:
僕たち技術部は、そうして整備の現場から出たプロセスや結果を製造メーカーであるAIRBUS社に報告して、アドバイスをもらう。原因箇所に近づくのなら、どんな情報でも収集する、そんな感じの日々だったね。
どんなに小さな可能性も疑う。
その気持ちの連続が、
直径1ミリほどのワイヤーにたどり着く。
兼平:
それで、ようやく発見したのが、「ワイヤーの皮膜のわずかな破れ」。
篠原:
航空機の外側には、直径1ミリほどの幾本ものワイヤーが、何十メートルにもわたって走っているんだけど、そのワイヤーを覆う皮膜が、一箇所わずかに破れていた。そりゃあ、なかなか見つからないはずだ。
兼平:
飛行している時の揺れによって、ワイヤーと、ワイヤーを固定する器具が接触して、その摩擦でワイヤーを覆う皮膜が破れて漏電していた。
篠原:
おそらく、他のA320を使用している航空会社でも、同じ不具合のメッセージは出ていたと思うんだよね。そして同じくらいトラブルシューティングを重ねていたはず。
兼平:
そういうなかで、どこよりも早く原因を発見し、それをAIRBUS社に報告し、提案し、結果、改善に繋げることができたのは、本当に嬉しかったですね。
部署は違っても、気持ちは一緒。
兼平:
整備の現場としては、技術部の皆さんの存在は大きかったです。どんな小さなことでも相談に乗ってくれるし、どんな小さな情報でもひとつ残らず、ていねいに現場へ流してくれるから。
篠原:
そう言ってくれて、素直に嬉しい。僕らとしても、現場からのあらゆる声や情報がタイムリーに流れてくるから、タイムリーに製造メーカーに報告もできる。そういう信頼関係からくるスピード感が、どこよりも早い原因発見に繋がって、かつ、AIRBUS社そのものを動かすことができたんじゃないかな。そう改めて思います。
兼平:
A320を安全に飛ばしたい。部署は違ってもその気持ちは一緒ということ。原因箇所が見つからない3ヶ月間は、常に胸のどっかに、何かがつっかえていたけれど、ようやくスッキリしました。改めて、スターフライヤーの整備部に、誇りを感じています。
(注1)トラブルシューティング・・故障や不具合の原因を突き止めること。

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